夏の日の出来事
「――お母さん、お父さん」
事故った場所に着いた
角にある、電柱の下に花束を置いて御参り
「あたし...高校生になったよ」
見てる?
ちゃんとあたしを見てくれてる?
幸せ、とは言えないけど...
ちゃんと生きてるよ、あたし
「...また1年後、来るからね」
踵を返して振り返る
と、同時にあたしは止まった
「...どうして?」
どうして居るの?
「ごめん...ついてきた」
「...今見たこと、全部忘れて」
「由愛!!」
聖夜が...叫んだ
あたしは止まる
だけど、振り返らない
「由愛、泣きそう」
「...全部忘れて!!」
あたしはそう叫んで走った
「由愛!!」
聖夜がまた叫んだ
だけど止まらずに走った
家まで、ずーっと走り続けた――