夏の日の出来事
「俺...病気じゃないんだ」
「...へ?」
病気じゃないって?
「嘘、なんだ。全部...」
「う、そ?」
「そう。全部...最初から全部嘘なんだ」
なんで...?
「なんで...そんな嘘ついたの...?」
「由愛の...本心を知りたかったんだ。俺のこと、どう思ってるかを知りたくて...」
言い訳だなって自分で言ってる聖夜
「そんなの、他の方法があったのにな」
聖夜の笑顔は無理矢理だった
あたしは、泣いた
「ちょっ!?」
聖夜は慌てて涙を拭いてくれる
だけど、その指は微かに震えてて...
「もう...こんな俺とは付き合ってられねえだろ?」
そう言う聖夜は、笑えてなかった
そんなこと...ない...
聖夜には...変わりない...
病気じゃなくて...良かった...
そう言いたくても、うまく出てこない
「ヒック...っ」
嗚咽が邪魔して、伝えられない
「ちょ、大丈夫かよ...」
優しく背中を撫でてくれる