夏の日の出来事


「ちょ、由愛?」


あたしの手を握って、あたしの顔を覗き込む


「優しくしちゃいけねえの?」


「優しすぎるよ...」


聖夜は、どれだけ悲しみに耐えたのかな


どれだけ1人で悩んだんだろう


あたしは...あたし1人で必死だった...


「由愛は何が気に食わねえの?」


「聖夜の、優しさ」


聖夜をまっすぐ見つめる


聖夜もあたしをまっすぐ見つめ返す


他から見れば変なカップルだろうけど...


「優しくするなってこと?」


「そうじゃない」


「じゃあなに?」


「....」


うまく言える自信がない


あたし、国語の成績2だから...


うまく伝えられない


「黙っちゃ分からねえよ、俺」


あたしの髪をサラッと流す


「由愛の国語の成績なら康祐の彼女から聞いてる」


「えっ!?」


なんで凜乃が!?


てゆうか人の成績を何勝手に言ってるの、凜乃は!!


何を考えてるの、あのバカは!!










< 76 / 121 >

この作品をシェア

pagetop