薄桃の景色に、シルエット。
「じゃ、行くかー」

「そうだな。じゃあ翔多君、来年もまた来るぞ」


 そう声をかけた私の頭を愁が撫でてくる。

 何事かと様子を窺えば、泣きそうな顔で笑っていた。

 それから小さく、ありがとうと呟いた。

 私は何だか気恥ずかしくて俯く。


「じゃあな、翔多。また来年」

「では失礼する」


 改めてお辞儀をして私達は翔多君の眠る墓石を後にした。

 不意に宙を見上げれば、見晴らしの良いそこからは綺麗に月が見つけられた。


「良い事がありそうだ」

「ん? 何か言った?」

「いや。……さ、早く帰ってレポートやるぞ」

「ぉ……おー」


* * * E n d * * *


 終わりましたー、真昼の月!

 何だかんだで思い入れが強くなった作品です。

 言葉にならない何かを受け取って頂けたら幸いです。


You don't have to know.....君は何も知らなくていい
I miss you.....会いたい
A letter without arriving.....届く宛ての無い手紙
If a miracle can be caused.....もし奇跡が起こせるなら
Among things of the future when he prayed.....彼が願った未来の中


writing by 09/12/04
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