薄桃の景色に、シルエット。
 あの日の短冊は結局あたしの願いは叶えてはくれなかった。

 彼女の願いは叶ったというのに。

 天の川に祈っていれば、今頃は彼女とこうして天の川を見上げていたのだろうか。

 一人きりの屋上で、温かい紅茶を啜って、毛布にくるまって。

 あの頃の事を思い返さずに済んだのだろうか。


 零れる涙が、気持ち悪かった。

 ごしごしと拭っても、止まらない。

 どうしてこんなにも胸が痛むんだろう。

 数年が経ってなお、彼女はあたしの心のど真ん中に居る。

 消えてくれない。


「他は要らない。要らないから…」


 あたしに――。

 その後は声が掠れて、続かなかった。


* * * E n d * * *


 七夕という事で、お話を一つ。

 『逢えない七夕』がテーマです。

 ストレートに受け取って下さっても結構ですし、え……これって……?と思って下さっても結構。

 人と人とが繋がる事、切れる事も、簡単で難しい。

 切なくなってしまいましたが、きっと彼女も幸せを掴めるだろうと思います。

 時間はかかるかもしれないけど、いつかは。

 じゃなきゃ酷すぎますもんね。ずっとつらい想いを抱えて来ましたから。

 ……あ、言っちゃった(汗)

 恋っていうのは難しいもんですな。

writing by 10/07/07
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