薄桃の景色に、シルエット。
 だから未明は嫌いじゃない。

 一人にも、一人じゃなくもなれる時間。

 寂しさが大きくなれば家に帰ればいいのだ。みんな気持ち良さそうに眠っている。

 一人も一人じゃなくも味わえるのは贅沢だなぁと思うのはおかしいだろうか。

 そう、こんな下らないことを悩めるという点でも、やはり未明という時間は私にとって不可欠だと思う。


「うーん。最近涼しくなって来たなぁ」


 秋はもう目の前だから、涼しくならない方が不思議か。

 例年より涼しくなるのが遅いくらいだもんな。

 すっと左腕を撫で、汗ばんでいないことを確認する。

 外で汗をかくとすぐに風呂に入れないから、真夏の未明は自然と家から近い場所に出没したが、このくらいの気温なら汗をかく心配がないから足を伸ばせていい。

 仲間外れされた数本の髪を耳に掛けつつ、小さな欠伸を一つ。ほどよく眠くなってきた。

 心の中で消化しきれなかったものは綺麗さっぱり消え去ったし、どうやら空も明けそうな気配だし、そろそろ帰宅するとしよう。

 私は立ち上がって背伸びをした。

 目の前の道路をシャーッと勢いよく新聞配達の自転車が通る。

 この場所を通ったなら、家にはもう配達済みだ。

 ご苦労様ですと呟き、私は家に向かって、明け始める空の下をマイペースに歩き始めた。


* * * E n d * * *


 こういうエッセイ的なのを書くのが好きです。

 特に何もない時間とか、そういうの。

 というか、眠れない時に書くからそういうのが楽なのかも。思いつくままに打つだけだから(苦笑)

 何も考えてません。何書いたかも覚えてません。そして多分、読み返しもしない。

 メッセージ性なんて欠片もないけど、心が落ち着くような感じに仕上がってたなら満足です。

writing by 10/10/01
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