小さな幸せ
笑顔で歩いている2人を見つめわたしは唇をかみ締めた
「どした?」しいが心配そうにわたしの顔を覗き込む
「なんでもないよ」
自分の気持ちを振り払うようにわたしは笑顔をつくった
しいの家についても気持ちは晴れず
さっきの2人が頭の中で何度もリピートされる
最初広永は仲のいい友達だった
なんでも言い合える関係で一緒にいて楽しい存在だった
でもある日広永はわたしに
「俺、彼女できたんだ」と告げた
そこで初めて広永のことが好きなんだって気付いた。
今更気付いても遅いよね...
いつから広永とわたしの関係は
壊れてしまったんだろう
気付くのが遅かった
傍にいるのが当たり前だった
広永の存在の大きさに気付かなかった
今更だけどやっぱり広永のこと
好きだよ
大好きだよ
気付くのが遅くてごめんね
広永の傍にいるのが
あたしでありたい
そんな小さな願いさえ
叶えることができない
それがこんなに辛いことなんて
胸が張り裂けそうに痛い
「...ん...りん」
しいの呼ぶ声でわたしは我に返った