小さな幸せ

翌朝わたしはいつもより早起きしてしまった

広永と1日一緒にいられる

そう考えただけでにやけてしまう

でもいろいろと身支度をしてると時間はあっという間に過ぎてしまった

あと10分で2時だ

抑えきれないにやにやと期待に胸を膨らませ

玄関の外で広永を待つ

まだかなぁー

何度もケータイを閉じたり開いたりを繰り返して時間を確認する

しかし2時ぴったりになっても広永は来ない

少し遅れるのかなぁ

わたしは背伸びして通りを見渡した

でもそれらしい人影は見当たらない

連絡もないし忘れてるのかも

そう思って家に戻ろうとした時

「若葉ー」とわたしを呼ぶ名前が聞こえてきた

いそいで通りにでてみると広永だった

「遅くなってごめん」自転車から降りて広永が

わたしの傍にきた

「ううん。平気だよ」

そうとう急いできてくれたのか汗だくで顔を真っ赤にしてる広永

それがなんだか可笑しくてつい笑ってしまった

「怒ってなくてよかった」

広永もほっとしたようにはにかんだ

「じゃあ行くぞ」

そう言って広永が自転車にまたがる

「あ、まってわたしも自転車とってくる」

そう言って自転車をとりに行こうとしたわたしの腕を

広永が掴んだ

「時間ないから後ろ乗れよ」

一気にほほが熱くなる

「えっ。でも」

赤くなってるのがばれないようにうつむくわたし

「あ、いま俺汗かいてるからやだよな」


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