小さな幸せ
「違うの。そうじゃなくて」

「じゃあいいよな」

広永の意地悪そうな笑み

しまった広永のペースにのせられてしまった

「早くのれよ」

そう言う広永にしぶしぶわたしは後ろに乗った

「しっかりつかまれよ」

いきなり走り出す自転車

あわててわたしは広永の背中に掴まる

背中広いな

シャツの裾をためらいがちに掴みながらわたしは思った

広永の背中はあったかくて

ほんのり洗剤のにおいがした

なんか懐かしい気持ちになって

胸の奥がきゅんとした
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