王子様の本性


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『すぅ~、はぁ~』

星凌高校の校門を行き交う学校の関係者やあたし達と同じ新入生を横目に、あたしは目を閉じ胸に手を当てて息を整える。


これからここで3年間を過ごすと考えると、なぜだか呼吸を整えなきゃいけない気がして、ゆっくり慎重に深呼吸をした。


するといきなり、
『よぉ!莉里に美咲、何してんの?』

と、陽気な言葉と同時に思いっ切り体当たりされたあたしは派手に前のめりになりながら転んでしまった。

周りの子がクスクス笑っているのが聞こえた。

あたしは振り向き、
『たぁ~くぅ~みぃ~!』
と泣きそうな顔をしかめてみせた。


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