黄泉からの手紙
ミーンミーン―――・・・


腹が立つくらい暑い夏の日の事だった。
夏休み中だというのに学校に呼び出され
ひたすら机に向かっている。

「明宮ー。まだ終わらんのかー?」
40前後のメガネの金崎先生が
俺に催促してきた。

―――1時間で20枚もプリント終るか!
という心の声とは裏腹に、
「金崎先生、すみません。
あと30分程度で終わらせるんで
もう少し待ってください」
とにこやかに且つ爽やかに言い、
金崎先生を職員室に戻らせた。


“おいっおいっ凌!
先生いなくなったぞ!次教えてくれっ”
ボソッとベランダに向かって
そう頼むと、同じクラスの中宮凌が
汗をかきながら教室に入ってきた。
「いーかげん自分で解けよー」
「解きたい気持ちは山々だけど
わかんねーんだもん仕方ねーだろw」
凌のささやかな愚痴も
にんまりと笑顔で跳ね返した。



その後30分
「先生終わりましたー!!」
またもやにこやかに先生に
プリント20枚を届け帰路に着いた。

「まったく...。赤点者は夏休みに
プリント20枚の補習があるって
言われてただろう。」
凌は呆れて言い放った。
そう、元はと言えば悪いのは宵なのだ。
期末テスト数学で赤点をとってしまい
夏休みの補習に来るよう前もって
金崎先生に言われていたのを
そっくり忘れていたのだ。
「宵のせいで時間が無駄になったー」
「悪ぃ悪ぃw今度なんか奢るからさw」
掌を合わせ片目を瞑って謝ると、
凌はニコニコして
「宵...。君はね...」
「ん?」
「一度も奢ったことないだろー!!!」


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