金烏玉兎


いつも家に居て、細い手足を持っている聖が力で、女の私にさえ勝てる筈が無い。

そういう勝算があるうえでの喧嘩をしかけた。


刀を振り上げた私に、聖は何も驚かず、本棚と戸の隙間から棒のようなモノを取り出して、受け止めた。

竹刀だ。

キリキリと交差する場所が鳴る。


「僕に勝ちたいと、本気でそう思うのなら。」


目を細める聖。


「その刃を見せてみろ。」


ガッと押し返される。

竹刀を使って立ち上がった聖は、笑っている。



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