金烏玉兎


紺の闇が降りてくる。
気付けば、辺りは真っ暗になっていた。

今夜は満月。


「僕に勝てたなら、照大の証明をしてやるよ。」


聖は強い。
それは空気だけじゃない。

私も刀を握り直す。

刃を出すことはしない。

それは、私のプライドか人を傷つけられない決断の甘さか。

振り上げた刀はまたしても、聖に降り下げられる。

そしてまた竹刀で止められて、次は鳩尾を蹴られた。

内臓が圧迫されて、低い呻き声が出る。



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