金烏玉兎


飛ばされそうになるのを必死で踏ん張る。

ぐらりとバランスを崩した聖は壁に手を付いた。

その隙を狙って刀を振り上げるけど、鞘に入っているそれは素手で掴まれる。


全てがスローモーションに見えた。


素手で掴まれた刀は、それはもう簡単に折れた。

驚いて固まってしまった私の胸倉を掴んだ聖。

聖の顔が近い。

美形顔と銀髪。透き通るような瞳は焦げ茶。


綺麗な人。


私はそのまま縁側の方へ吹っ飛ばされた。




綺麗な女。



< 104 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop