金烏玉兎
そんなこと、考える暇なんて無い。
ズルリと足を滑らせて、転ける。
ヒュッと風を切って目の前を何かが掠める。
「まだ終わってない。」
肩に担ぐようにして竹刀を持った聖は、池の近くまで来ている。
これは、ヤバい。
命の危険を感じたのと同時に、近くに人の気配を感じた。
「いい加減になさい。」
バシッと聖の頬を叩いたのは、東仲さん。
静綺と私はそれを唖然として見ている。
般若のように目を吊り上げた顔を私に向けたように東仲さんにも向ける。