金烏玉兎
中には想像した通りの静綺のような金髪の不良っぽい人が居る。
「こんな所でクリスマスプレゼントなんて買えませんよ。」
一刻も早く逃げ出したい私は必死に言う。
先輩はクレーンゲームの前で立ち止まり、私の言葉を無視した。
「これ、可愛くない?」
兎のぬいぐるみを指差す。
確かに可愛い。
でも、それを誰に?
「聖にあげるんですか?」
コインを入れて、大きいリズミカルな音が流れ始めた。
「いや、母親に。」
兎の耳にクレーンの爪をひっかけようとする先輩の顔は真剣そのもの。