金烏玉兎
お母さんに?
疑問符を浮かべている私を気にせず、先輩は上手く兎を取った。
「…この前はごめん。なんか余計なこと言った。」
唐突に謝られる。
この前って何かあったっけ?と更に疑問符が浮かんで、ひとつ消える。
聖と私の喧嘩。
「気にしないでください。私は最初からやるつもりでしたから。」
あの日、先輩に会おうとも会わずとも私は聖に挑む覚悟をしていた。
だから、先輩が謝る必要性なんて少しも無い。