金烏玉兎


「そっか…、ありがと。」

水素より軽い先輩は、私の頭をポンポンと撫でる。

…こういうことを平気でするから、聖にも風船野郎と呼ばれるんだ。


「あ、そういえば。聖が誕生日に先輩のこと呼ぶって言ってました。」

「それはそれは。行けると良いな。」

「是非とも来て欲しいですよ。」


寒い中、お月見ですけど。

言わない方が良いことも世の中には沢山ある。

一人で納得して静かに頷く。


ゲームセンターを出ると、商店街にはクリスマスソングがかかっていたのに気付いた。



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