金烏玉兎
五センチほど降り積もった雪が溶けて、膝が濡れて冷たい。
私は、聖の手首を掴んで引っ張る。
…私より軽い。
少しグッタリしていた聖は、急に肩や髪の毛についた雪を振り払った。
水滴が傘を持つ私にもかかる。
「ちょっと。」
「腹、減った。夕飯は?」
「起き上がってそれ?風邪引くよ、まず寒いって言えないの!?」
「僕が何言おうと僕の勝手だろ。」
立ち上がった聖は首を回しながら、屋敷へ歩く。
私もその後を追った。