金烏玉兎
お月見は、それはそれは寒かった。
みんなで縁側に座って、雪の止んだ空を眺める。
月は見えないけど。
「あ、聖。誕生日おめでとう。」
私がそういうと、ちょっとだけ笑った。
「…あぁ。」
歴史的瞬間だと、心の中に刻んだ。
色んな事が分かった年。
私を好きなんじゃないかと思っていた静綺の好きな人は聖だった。
先輩は聖の従兄弟だった。
照大の弓道の大会出場は取り消しになってしまった。
私は初めて聖に勝負をしかけた。
来年も、楽しく平和な年でありますように。