金烏玉兎
仰向けの姿勢で腕に体重をかけた聖は、ダルそうにこっちを向く。
「…怖い夢見た、かも。」
「この歳になって怖い夢見て人の所に来るだなんて、迷惑極まりないな。」
「良いでしょ、聖起きてたんだから。」
「屁理屈。現に僕は迷惑だと思ってる。」
ああそうですか。
私はその言葉に出て行こうとはせず、畳の上に座ってハムを観察する。
「…聖。」
「あ?」
「呼んでみただけ。」
「鳥肌が立つ程気持ちが悪い。さっさと出ていけ。」