金烏玉兎
冬の寒さが肌に突き刺さる。
“幼馴染み”という枠を嫌がってた私は、一番それに甘えていたんだと思う。
何時かは変わるはずのその枠を、何時までも変わらないと決め込んでいた。
東仲さんが『聖はもう戻らないかもしれない』と言った日から、聖は屋敷から消えた。
消えたということは、居ないということで。
居ないということは、聖は屋敷の敷地から出たということ。
そんな事実に驚きながら複雑。
戻らないって、聖はどこへ行ってしまったんだろう。
京都の実家へ?近くの公園?どっかの本屋さんで寝泊まりしてるの?