金烏玉兎


膝小僧は痛々しいくらいに赤い血がついていて、保健室に向かった。


午後の授業はもう終わりだから、あとはHRだけ。

担任の先生にも言ってきたから大丈夫だよね、とサボる気満々。


「ふざけてんなよ。」


低い声が聞こえた。

ピタリと、扉にかけた手が止まる。

照大の声。


「いつかはやることだったろ。」

「日常破壊しといて、飄々としてんなよ。」


静綺の声。

ガラッと扉を開けた。



< 154 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop