金烏玉兎


「…私だけ、何も知らないの?」


チャイムが鳴った。

それを合図にしたように、照大が顔を上げる。


「俺が知ってることを話すよ。」

「おい、お前。」

「聖が何をしてようと俺等には関係無い。アイツが俺等のことは関係無いと思うのと同じように。」


静綺の制する声に、そう返した照大は私の腕を掴んで椅子に座らせた。

膝に消毒液を雑に付ける為に。


「痛い!」

「まずは治療が最優先。」


ペタリと大きめの絆創膏を貼られた。



< 156 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop