金烏玉兎
「…私だけ、何も知らないの?」
チャイムが鳴った。
それを合図にしたように、照大が顔を上げる。
「俺が知ってることを話すよ。」
「おい、お前。」
「聖が何をしてようと俺等には関係無い。アイツが俺等のことは関係無いと思うのと同じように。」
静綺の制する声に、そう返した照大は私の腕を掴んで椅子に座らせた。
膝に消毒液を雑に付ける為に。
「痛い!」
「まずは治療が最優先。」
ペタリと大きめの絆創膏を貼られた。