金烏玉兎
「聖は今、組合じゃないヤクザの溜まり場に居る。ここら辺は十六夜の縄張りのはずなのに、最近派手なことをする奴等が多すぎるらしい。
静綺はその潜入に手を貸していた。」
そんな複雑なことが起きていたなんて、考えもつかない。
久しぶりに見る静綺の口元には、小さな傷があった。
黙って聞く私に、照大は続ける。
「俺等がまだ、小さい時に桜嘉が交通事故に遭っただろ?軽い脳震盪で済んだやつ。」
「うん。」
「あれも、聖。」