金烏玉兎


「あぁ、だから退いてくれ。」


「信用出来っかよ。」


「静綺を売ったのに、信用出来ないだなんて心外だ。」


静綺を…売った?

黒い塊は微塵も動かない。


「ど、どういうこと?静綺を売るって…もしかして、」

「ほらな。」


ガンッと物が打たれる音が聞こえて、目の前から黒い塊が消えた。

ヒュッと喉の奥が鳴る。


「調子乗ってんなよ、クソガキ。」


冷たい双眼が聖に向けられている。



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