金烏玉兎
あんなに簡単に私を投げ飛ばした聖を、簡単に殴り飛ばす。
怖い。
目の前の光景が信じられなくて。
「…ってぇな。」
「潰せ、そいつ。」
悪態を吐く聖に、男が群がる。
「止めて、聖…!」
聖の立ち上がりは早くて何人かを殴り倒す。
不意にグイッとコートの襟を掴まれて、グエッと蛙みたいな声が出た。
振り向くと、次は紅茶髪の男。
「君はこっち。」
引き寄せられて、着ていた服を肌蹴られそうになる。
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