金烏玉兎
抱き締める肩は、薄くて小さい。
どうか、まだ。
どうか、冷たくならないで。
「警察が来る前に、ここを出る。」
パッチリと目を開けた聖は、立ち上がって扉に手をかける。
「そ、そんなことより先に救急車…。」
「煩い。」
部屋の中には、のびている男しか居ない。
出て行く聖を支えながらビルを出る。
外はもう真っ暗で、聖はフラフラと商店街へ歩みを進めた。
無言で後に付くと、黒いパーカーを差し出される。
「僕より目立ってる。」
見ると、さっきの所為かびよーんとのびている首元の服。