金烏玉兎
走ってきたのか、息を切らせながら手術室の方を見ている。
「お二人は怪我、ありませんか?」
私の頭はぼーっとしていて、言われた意味を理解するのに時間がかかった。
「無いです。…静綺は?」
代わりに照大が答えて、東仲さんが言う。
「静綺さんは大事には至りませんでした。さっき意識を取り戻しました。付き添って頂いた百合さんもお帰りになられました。」
百合ちゃん…。
視界に東仲さんが入ってくる。
照大が握っていない方の手にも聖の血がベットリてついている。