金烏玉兎



女の先輩は驚いたようにこっちを見る。
私は慌てて会釈をした。


「ありがと。」


攫うように私がさしていた傘の柄を掴む照大。


「え、照大のはコレ…。」


と、黒い傘を差し出す前に腕も掴まれて足が勝手に動き出す。

照大と私は逃げるように校門を抜けて、帰路につく。


「あの先輩、しつこいから逃げた。」


悪戯っ子のように舌を出す。幼い時からその姿は変わってない。



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