金烏玉兎
秋の紅葉を見つめて懐かしさに浸る。
屋敷に帰る足は重たい。
聖に啖呵を切ってしまったし、帰って文句を言われたり家を出ていけ、と罵られたりするかもしれない。
思えば、私は聖の家を失ってしまうと行く宛は無い。
家はあるけど、あそこからじゃ学校に通えない。
「ただいま。」
静綺が言ったけど、返ってきる言葉は無い。
いつもでは想像出来ない程静か。
日本間に行くと、三人が座ってテレビを見ていた。
勿論、聖と先輩と照大の三人。
「…で、何があったのか説明してくれよ。」