金烏玉兎
聖の銀髪を見る度に感じる。
「この前言ったこと、忘れてくれる?」
玄関まで送ろうとしたら先輩と二人きりになった。
薄情者達め、と先輩はぼやいていたけど、水素より軽い先輩はすぐに静かになった。
「って言ったら、怒る?」
「烏と兎の話ですか?」
「そう。」
「怒らないですよ。」
首を振る。
悪意を持って言った事では無いし、驚いただけで私は傷ついて無い。
「…まぁ、俺はあんまり気にしないんだけど。」
呟く声。
サンダルを足に突っかけて、一緒に外に出る。