金烏玉兎



聖の銀髪を見る度に感じる。

「この前言ったこと、忘れてくれる?」

玄関まで送ろうとしたら先輩と二人きりになった。

薄情者達め、と先輩はぼやいていたけど、水素より軽い先輩はすぐに静かになった。

「って言ったら、怒る?」

「烏と兎の話ですか?」

「そう。」

「怒らないですよ。」

首を振る。

悪意を持って言った事では無いし、驚いただけで私は傷ついて無い。

「…まぁ、俺はあんまり気にしないんだけど。」

呟く声。

サンダルを足に突っかけて、一緒に外に出る。



< 65 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop