金烏玉兎


こういう事をする辺り、聖に言わせれば「ガキ」なんだろう。


「久しぶりですね、こうやって桜嘉さんがぎゅーっとしてくださるの。」

「…前もしてた?」

「聖さんと喧嘩すると、すぐに私を呼んでいたんですよ。」


クスクスと耳元で聞こえる笑い声が心地良い。

耳に滑り込む、多分お母さんより聞いた声。

「さぁさぁ、冷えるので入りましょう。」

東仲さんて本当に何歳なんだろう…?

聞いたところで話してはくれない。

この家はそういう人が多い気がした。



< 70 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop