金烏玉兎
押し付けるようにそう言ってしまって、ちょっと止まる。
沈黙が入って気まずいと感じたのは私だけらしくて、
「うん、俺もそう思う。」
サラリとそう答えた。
「恋はお互いに想いが通じてるけど、愛は一方通行だから。辛いこと多いんじゃないかな?」
「うん。」
「…静綺って好きな人居るの?」
そんな質問をするくらい、恋と愛について悩んでいるのかもしれない。
静綺は柔らかく笑った。
「居る。」
静綺が笑うのなんて久しぶりに見た。