金烏玉兎
上着の袖に腕を通して、迎えに行くから。
翌日は前の日とは比べものにならないくらい暖かくなった。
「午後からは雨らしいね。」
学食のナポリタンを頬張る百合ちゃんは、透明ガラスの向こうを見る。
確かに少しだけ薄黒い雲があった。
「秋雨…?」
「そうかも。それに最近雨降ってなかったからね。」
「あ、確かに。」
納得したは良いけど折りたたみ傘も持って来ていない。
教室に戻ると、女子と男子の入り混じるグループの中に静綺が居た。
親が社長だとはクラスメートには言っていない。