カルテット
『兄さん頑張るね。』

私が声をかけると隆介は今ゲットしたばかりの飴玉をくれた。

『そりゃあ好きな子のためには頑張るよ。』

まぁそれもそうだ。

『あんまり由利ちゃん苦しめないであげてね?』

自然とでてきた言葉に自分で驚いた。
私の中で由利が大切な友達になっていたからだ。
今まであまり絡まなかった子だったのに…。

『苦しめてるつもりはないよ。俺はね。』

そんな会話をしていると由利がやってきて、

『ごめんけど、プリクラの話なかった事にして。』

と言った。
敬太が嫌がったのだろう。

私と隆介は
『わかった。』
と言うしかなかった。

重たい空気のままこの後どうするか話し合い、ジョイフルでご飯を食べる事になった。

車の中でも1番話していた敬太が静かだったため、時折沈黙が流れた。

私は黙って敬太の背中をぽんぽんと叩いた。

敬太は私を見て辛そうに笑った。

敬太もあれが限界だったのだろう。
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