カルテット
『隆君とは何もなかったんやけど、やっぱり泊めた事が後ろめたくてさ、そんな感情のまま付き合いたくなかったし、敬太の気持ちは大きすぎてうちには重かったんよ。』

『まぁそれは分かるけどさ、でも何で隆君とは付き合えなぃの?』

そうだ。今までの話からは肝心なそこの理由が分からない。

『だって会ったばっかりでどんな人なのかもまだはっきり分かんないし…それに敬太の事もあってしばらく恋愛したくないんよ。』


隆介にとってはとんだとばっちりだなと考えたがそこはあえて口にはしなかった。

『んじゃ振るの?』

『うん…友達のままでおるわけにもいかないし、もう縁切ろうと思って……明後日遊びに誘われてるからそれを最後にしようと思ってる』


モテる女は辛いなと私は思った。本来幸せな事なんだとは思うが、それでこんな状況にはなりたくないなと心の中でひそかに思った。


『でも二人では行きたくなぃんだよね…。そんな事したらまた向こうに変に期待させちゃうし……』

由利はため息をつきながらしばらく考えこんだ後ぱっと顔をあげて思いもよらない事を私に言った。

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