【企画】廃陸の旅団外伝①【キャラバト】
それは一瞬の出来事であった。
ブリュンから放たれる凄まじいフォースは焔となり具現化し、煌めく剣にまとわりつく。
ゆっくりと剣を頭の上に振り上げたブリュン。
テレサの声と共に剣は振り下ろされ、不死鳥の様に剣から放たれた灼熱の業火が音もなく瓦礫を昇華してしまった。
男達は歓喜の叫びを上げ、その横で盗みを働いた男は啜り泣くように地べたに座り込んでいた。
男が顔を上げた時にはもうテレサと深紅の女騎士の姿はなく、この時のことはこの村で後々にまで語り継がれていくことになるのだった。
そして盗人はこの村に住むことになり、持ち前の器用さを生かし造形技師となる。
八年後、村の隅にある坑道の前にはある銅像が立てられる。
『ローゼン・シュトック=薔薇の杖=』の女神象。と名付けられたそれは、不思議なことにいつまでもサビ一つつくことなく村を見守り続けるのだった。