【企画】廃陸の旅団外伝①【キャラバト】


「おーい鹿肉のソテーまだか?」

「すんません、後5分弱かかります」

「おい、箸足んねぇぞ、何してんだ!」


昼前になり食堂から威勢の良い声が飛びかう。


「……あれ?」

そんな中、サラダを担当していた一番新人のリュックが違和感に気付く。

「トンパさん、ここにあった黄トマト知りませんか?」

横で大慌てでフライパンを振るうトンパ。

顎髭にまで滴り落ちる汗が、その忙しさを物語っている。

「そんなもん知るかバカヤロウ!!てめぇで用意したもんくらい、てめぇで把握しときやがれ……って

あれ?おいリュック、ここにあったヨコウオの切り身知らねぇか?」


トンパが用意していた魚の切り身までが忽然と消えていた。

他の調理員達からも同じように食材が消えた、という声が上がる。


「いったいどうなってやがる!」

調理場の責任者であるジェフが怒りの声をあげた時だった、リュックは食堂の隅を何かが通り過ぎるのを見た。

急いでその影をおっていく。


「あーーー食材ドロボウ!!」

< 15 / 43 >

この作品をシェア

pagetop