【企画】廃陸の旅団外伝①【キャラバト】
「おーい鹿肉のソテーまだか?」
「すんません、後5分弱かかります」
「おい、箸足んねぇぞ、何してんだ!」
昼前になり食堂から威勢の良い声が飛びかう。
「……あれ?」
そんな中、サラダを担当していた一番新人のリュックが違和感に気付く。
「トンパさん、ここにあった黄トマト知りませんか?」
横で大慌てでフライパンを振るうトンパ。
顎髭にまで滴り落ちる汗が、その忙しさを物語っている。
「そんなもん知るかバカヤロウ!!てめぇで用意したもんくらい、てめぇで把握しときやがれ……って
あれ?おいリュック、ここにあったヨコウオの切り身知らねぇか?」
トンパが用意していた魚の切り身までが忽然と消えていた。
他の調理員達からも同じように食材が消えた、という声が上がる。
「いったいどうなってやがる!」
調理場の責任者であるジェフが怒りの声をあげた時だった、リュックは食堂の隅を何かが通り過ぎるのを見た。
急いでその影をおっていく。
「あーーー食材ドロボウ!!」