【企画】廃陸の旅団外伝①【キャラバト】
シルファは俯いて何かを考え、ゆっくりと話し始めた。
「ジン様は『ローゼン・シュトック』と言うのを聞いたことがおありですか?」
「……なんだい?そりゃ」
シルファはゆっくりとソファを手で指し、ジンは座った。
「薔薇の杖を持った女神と呼ばれるフォースマスターの噂が巷で度々聞かれる様になりました。
聞くところによれば、召喚物を扱う『アーカー=知念師=』ではないか、ということです」
「独自の術を創造する至高のフォースマスター、アーカー。
シルファと同じ……」
ジンはにやりと笑う。
今までとは違う笑顔だ。
「ある村では厄災から人々を救い、ある所では魔獣の毒に犯された少年を助け、またある所では暴走した古代兵器を一撃で静めたと聞く」
「1人の人物の功績とは思いがたいですが、そんな人物ならば廃陸の旅団に引き入れたい。そうは思いませんか?」
ジンはまた立ち上がる。
「つまり、オレにそいつを勧誘してこいってわけだ?
で、ついでに実力も見せてみろ……と」
シルファは笑う。
それが、そのジンの質問への答えであった。