【企画】廃陸の旅団外伝①【キャラバト】
結界の中、降るはずのない雪が舞っていた。
それは一瞬にして狂暴な吹雪となり、荒れ狂う。
パキッ。ピキキッ。
超零度の空間で細胞が凍り付き、辺りを荒れ狂う無情な風が凍り付いた身体を無残にひきちぎる。
ジンの結界・氷狼陣に取り囲まれた者は死ぬ間際にこう言い残す。
「――白銀の無数の狼が自分の身体を切り裂いていった」と。
ジンがフォースを止めると結界が消える。
十数体いた魔物は粉々になり消えていった。
「さて、もう少し奥まで行ってみますかね―――って。
このフォースは!?」
奥から漂ってくる不気味なフォース。
いつの間に現れたのかは分からないが、恐らくはこのフォースの主こそ噂の海蛇だということは、容易に想像がついた。
ジンはゆっくりと歩を進める。
身体の細胞がジンに伝える。
久々の極上の獲物だ――
と。