【企画】廃陸の旅団外伝①【キャラバト】
ブリュンは我を忘れ、剣を地面に落とし、テレサの元へと駆け付けようとした。
3歩ほど進んだ時、ブリュンは鎖が擦れる音を耳にした。
それを大脳が受け取り意識した瞬間に、目の前には粉雪が無数に舞っていた。
「――『結鎖・氷狼陣』」
「ぐぁぁぁぁぁぁあっ!!!」
「ブリュンヒルデ!?」
深紅の鎧をも貫き全身を切り刻まれたブリュンが、テレサに手を伸ばしながら地面に倒れこんだ。
テレサはブリュンの元に駆け付ける。
「すまないテレサ。君を護るのが私の……」
テレサはブリュンの手を握る。
「謝らないでブリュン。あなたは少し休んでいてね。
彼は……
彼は私が」
ブリュンは最後のテレサの言葉を聞く前に消えた。
テレサがブリュンの魔方陣を消したのだ。
ゆっくりと身体を起こしたテレサがジンに振り返る。
ビリビリと痺れる様な刺々しいフォース。
「私は……
私は私の大切な人を傷付けたあなたを許さない。
私は理由もなく人を傷付ける様な人間を、決して許さない!!」
薔薇の杖を突き刺すテレサ。
漆黒の魔方陣が浮かび上がる。
ブリュンともムーサともオーデイルとも異なる、毒々しいフォースが辺りに放たれる。
「――来なさい五本鋭利『ソードダンサー』!!!」