【企画】廃陸の旅団外伝①【キャラバト】
天空艇に戻ってきたジン。
シルファとホセが迎える。
「おかえりなさいジン様。如何でしたか?」
シルファの優しい声。
「しかし連れ返ってもこれず、そのボロボロの身なりを見ると負けたな?」
ホセの挑発的な態度。
ジンは2人に返事もせずに部屋を出た。
「ジン様おかえりなさい」
「今回の旅は如何でしたか?」
団員達がジンを見つける旅に声を掛ける。
ジンは無反応だが、心なしか口元が緩んでいるようにも見えた。
「あ、ジン様。ジンさまーっ!」
後ろから聞こえたリュックの声にジンが振り返る。
リュックの手には一杯のご馳走が。
「これ料理長がジン様に持っていけって。
戦いの後はお腹空きますもんね。おかわりもありますから、好きなだけ食べてくださいね」
にっこりと笑ったリュックの面影にテレサが重なった。
『あなたの翼はあなた1人が羽ばたく為だけにあるのか……』
ジンは窓から半分に欠けた月を見てぼそりと呟く。
「ちぇっ、負けたよ。
ローゼン・シュトック」