【企画】廃陸の旅団外伝①【キャラバト】
「あなたは盗人さん。
それに村の男の人達……どうして?」
男は照れくさそうに頭をかいた。
「あ、あんたに諭されて、やっぱり盗みはよくねぇなって思ったんだよ。
それで宝石を取りに行ったら、すげぇでかい音が聞こえてきてさ、見に来たら坑道が塞がっていやがった」
村一番の力持ちサンチョが話を捕捉する。
「シュトラツ山の坑道はこの村と外界とを繋ぐ唯一の交通路だ。
この人は、この惨状を見て真っ先に俺達に知らせに来てくれたってわけさ」
男は頭をボリボリとかきながら、口元を緩めながら目を逸らした。
「だからあんたの所に戻るのが遅れちまった。本当にすまねぇ」
男は首だけを倒して頭を下げた。
テレサはにっと笑う。
「良いのですよ。素晴らしい行いをしましたね。
私は嬉しいです」
「お嬢さん……」
「盗人さん……」
2人は友情のハグをする。
すると村人達から自然と拍手が飛びかうのだった。