【企画】廃陸の旅団外伝①【キャラバト】
「これは……フォースの力なのか?」
突如現れたブリュンに男達は目を見開いている。
テレサは男達に向き直り言う。
「新しい坑道を造るのでしたら何ヵ月もかかってしまいますよね?
その間の食料の確保も難しいのではないでしょうか?」
「あ……ああ、確かにそうだが。
しかし、君はいったい何をしようとしているんだね?」
サンチョの言葉にテレサはにっと笑う。
「ブリュンの力で山の向こうまで無理矢理に道を開きます」
男達が騒つく。
「そんなことが出来るのかい?」
テレサはちらっとブリュンを見た。
ブリュンは腰に据えた煌めく剣を抜く。
「愚問だな。我が剣は一刀にて大地を割り、山を崩すのもわけない」
「……そうゆうことです。
なので皆さんは安全な場所から見ていてくださいね」
テレサとブリュンは崩れ落ちた坑道の入り口付近までゆっくりと歩いていく。
サンチョが聞く。
「なぁ、あんた!
何でここの土地の人間でもないのに、こんなことに協力してくれるんだ?」
立ち止まり振り返るテレサ。
柔らかな表情で言う。
「迷いの道から還ってきた清らかな心に触れました。
それだけで、お礼なんてできないほどの素晴らしい時間だと思ったからです」