LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■手を繋いで

腕を組んでショッピング
手を繋いだまま映画鑑賞

個室のないファミレス

『やべぇ… 初体験だらけ』
『え? ファミレスですか?』
『ファミレスはよく来るけど、女とは初めて』
『へぇ… じゃあいつもデートはどこでするんですか?』

奈穂の問い掛けに俺は少しの間、考え込んだ

『…俺の部屋、彼女の部屋、ホテル、個室のあるメシ屋』
『…密室ばっかじゃないですか! 何してるんです?!』
『さぁー…』

翌々、考えればデートらしいデートをした事がないな…


何故、こんな初体験だらけになったのか…
それは奈穂の一言にあった

「今日はエッチな事無しで遊びましょう」
簡単に訳すと「必要以上に触れるな」というわけだ

つまんねぇー…
最初はそう思った俺も今では楽しくて仕方ない

まるで初めて家から外に出た子猫のよう…

『次はどこ行く?!』
『え… もう移動ですか?』

だって楽しいんだ
もっと新しい事をしたい

もっと奈穂の世界を教えてほしい


『洋くん、待ってください!』

早々と店を出た俺を奈穂は必死に追う

ブーツのヒールが高いのか心なしか走りにくそう…
そんな奈穂に俺は右手を差し出した

『手、繋ごう?』
『はッ はい…』

奈穂の左手と俺の右手
指を絡ませ、繋がる

『洋くん… 知ってました?』
『何が?』
『手を繋ぐ時に利き手じゃない方で繋ぐ人は浮気性なんですって!』
『ふーん…』

ふと自分の空いた手を見る
左手が空いていた

『…って両利きだ俺…』

どっちに転んでも浮気性か…

『じゃあよく使う方!』
『左…』
『あ~! 浮気性です!』
『奈穂だって右が空いてんだろ?!』
『だって洋くんが…ッ』
『…』

俺はしばらく考えた後、奈穂の右手を左手で握り直した

『…洋くん…』
『これでお互い様! ほら、次に行くよ?』
『…はい!』

いつも右手を差し出すため、左手の違和感はしばらく消えなかった

それでも奈穂の手を離す事はない…
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