LOVE･GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)

■幸せ
○Side 奈穂

繋がれた右手が暖かくて…

もう二度と離したくない
そう思った

私達はこれからどうなるのかな？
どう進むのかな？

幸せに…なれるといいね…





理香とよく行くケーキ屋さん
恋人と行くとコーヒーが一杯、サービスでつく

だから私、洋くんと来たかった…


『よくそんな甘いのばっか食えるなぁ…』

洋くんは半ば呆れながら私の目の前のケーキを指差す

『美味しいですよ？ 食べます？』
『いーや… 俺はコーヒーだけで…』

本当に甘い物、駄目なんだ
すごく嫌そうな顔してる

小さな小さなケーキ
洋くんにとって最大の敵だと思うと少し可笑しい


『奈穂、可愛いね？』
『え…？』

突然の事に驚いて顔を上げる
するとクスクス笑う洋くんがいた

『本当に幸せそうに食べてるから』
『…うん…』

だってね
本当に幸せなの

ずっとずっと洋くんを独り占めしたかった…







ケーキ屋さんを出て、駅に向かう
空には夕焼けが見えた

もうデートはおしまい

明日、日曜日で会えなくて…
月曜日からは普段通り

まるで何も無かったかのように進んでいくのかな…？

『奈穂、どうかした？』

俯いて歩く私に気付いたのか、洋くんは心配そうに覗き込む

…離れたくない…
でもそんな事言えない…

『あの… もう一カ所、寄っていきませんか…？』

だから精一杯、時を伸ばす
そんな私に洋くんは優しい笑みを見せた

『んじゃ、ここ見てく？』

そう言って指差したのは、青いネオンの眩しいゲームセンター

後何分、一緒にいられるかな…