LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■夢の町

『う~… 頭痛い…』

前回より今回は馬鹿が一匹増えた

『何で直樹までいるのよ?!』

奈穂は眉を吊り上げて直樹を怒る

次は自分の番かも知れない、と俺は静かに部屋を抜け出した


昨日、あの後は直樹と2人で晩酌してしまい寝たのは4時近かった

おかげで頭痛いし…


キッチンでコップに水をついで飲む
その瞬間…

『直樹に飲ませたのは洋くんですね?』
『ブッ ごふッ…!』

奈穂とは思えない低い声で後ろから話し掛けられた

突然の事に気管支に水を入れ、むせてしまう

『殺す気かぁ!!』
『洋くんこそ直樹を殺す気ですか! 受験生なんですよ?!』
『………は?』

一瞬、思考回路が…
受験っていうと…

『あ、大学のね!』
『違います、高校受験です!』
『あ…』

ありえねぇ~…ッ
自分と同じぐらいだと思ってた

『それよりお母さんの所に行くんですよね?』
『…うん』

元気…してるかな…





俺達はあの赤い電車に乗って白い家に向かう

都会を外れ、山を越え…
海が見えてくる

『…山と海との夢の町…』
『え?』

俺の言葉に奈穂は不思議そうに首を傾げる

『どっかの町の盆踊りで歌う歌… 何音頭っていうのかわかんないけど…』

そんな町、本当にあるのかよって思ってた
でもあったんだよね…

『今から行く所はね、海と山が同時に見えるんだ…』

白い家の後ろには山
蝉やカブトムシが採れる

目の前は海
貝殻や魚が採れる

そんな夢の町…
奈穂も気に入ってくれるかな…
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