LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■山奥の施設
○Side 奈穂

駅から歩くこと30分
コンビニどころか民家さえも見えてこない

『洋くん… 本当に道合ってます?』

急に不安になって洋くんの腕を掴んだ

『15歳から一度も来てないけど、多分合ってる…』
『た、多分…』

とりあえず他に頼る人もいないので、信じるしかないのだけど…

こんな所に何があると言うの?




そしてそれから歩くこと10分
ようやく白い建物が見えてきた

『ここって…』
『そっ 俺が中3までいた施設』

洋くんは手慣れたように門を開け、中に入っていく

『あ、洋だ!』
『洋!』

中には沢山の子供がいて皆が洋くんの体にぶら下がる

『…人気者ですね!』

誰も知らない一面を見たようで何だか嬉しくなった

『せめて「洋兄ちゃん」といいなさい? ガキ共…』
『だって洋は洋だもん!』
『…まぁ、いーわ お母さんは?』
『中にいるよ!』

子供達と戯れる姿なんて学校じゃ見られないだろうな…

『ねぇ、あのお姉ちゃんは洋の恋人?』

小さな女の子が私を指差して言う

『さぁな んな事ばっか言ってないで勉強しろよ?』

女の子の頭を撫でてはぐらかすと洋くんは建物の中に入っていった

私も追い掛けて入ろうとした時、小さな手が袖口を掴む

『洋はアタシと結婚するんだからね!』
『え?』
『だって洋のファーストキスはアタシなんだから!』

エッヘンと踏ん反り返る女の子
私は笑いを堪えて彼を追い掛けた

『なぁに笑ってんの?』
『いいえ、洋くんのファーストキスって誰でした?』
『…わかんね… あのチビ共が小さい頃に好き放題されてたから』
『あははは!』
『笑うなって…』

ねぇ、洋くん
ここに来て、もっと洋くんを好きになっちゃった
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