LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)
■足りない物

施設って沢山の人が子供を見ているんだって思ってた

でもここにいるのは皆から「お母さん」と呼ばれる1人の女性
優しそうで、とても温かい人…

『洋、ちょっと子供達と遊んでおいで? 寂しがってたから…』

園長さんがそう言うと、洋くんは笑顔で部屋を出ていった


『奈穂さん… 洋はいつもあんな感じかい?』

その後で嬉しそうな表情で笑う園長さん

『はい… 大体はあんな感じです…』
『変わったね… ここにいる時とは別人だ…』

どうかわったのか解らないけど、嫌な意味ではなさそう
何だか気恥ずかしくなって俯いてしまった

『12でね、父親が連れてきたんだよ 「記憶がなくても預かれるか?」って…』
『え…?』
『預かったはいいものの毎晩、抜け出しては喧嘩 女の子もよく連れ込んでたね…』

【動物に成り下がって】

一瞬、洋くんのあの言葉を思い出した

『それで私とよく喧嘩になっていてね… だからさっき洋の声聞いた時には恐かったよ?』

ハハッと笑う園長は真っ直ぐに庭で遊ぶ洋くんを見ている

私も…同じように見た

『ここの施設にいられるのは中学生までの決まりで、洋とは仲直りしないまま離れてしまったんだ… 最後の日に1つだけ約束をしてね…』
『…どんな約束ですか…?』
『「洋には愛する事、愛される事の2つが足りない… 2つを知る事が出来たら会いにおいで、2つを教えてくれた人と一緒に」って約束…』

教えてくれた人と一緒に…?

『わ…たし…?』
『あの子は寂しがりやだからね、可愛がっておくれよ?』

園長さんはニコッと笑うともう一度、頭を撫でてくれる

『………はい…ッ…』

そしたら涙が止まらなくて…
せっかくの園長さんの笑顔を見れなくなってしまった

愛する事
愛される事

今すぐ伝えたい

【貴方を愛している】と…
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